SERIES
CROSS Kを制作する
石川県小松地域在住の九谷焼窯元をご紹介いたします。
錦山窯
KINZANGAMA
錦山窯は、1906(明治9)年に初代吉田庄作がこの地で独立開窯して以来、110年あまりの間、九谷が育んできた様々な金彩技法を継承し作陶を続けてまいりました。その繊細で濃密な美の世界を継承し、独特の金彩技法を磨きあげていく作陶スタイルは、装飾を削ぎ落すシンプルなものが多い現代の中では、希少で独自の存在となっています。このようにして、錦山窯が守り育んできた、金彩の美しさを表現したいという強い思いは、雪深い北陸の風土の中で鍛え上げられた根気強い職人達の手によって、これからの百年につなげていく為の新たな商品作りに生かされてきています。
吉田 幸央
YUKIO YOSHITA
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1960年石川県小松市に生まれる。1982年金沢美術工芸大学卒業後、石川県立九谷焼技術研修所を経て、実家である錦山窯で作陶をはじめる。25歳で朝日陶芸展受賞後、様々なコンペティションで受賞を重ね、2010年日本伝統工芸展で高松宮記念賞受賞。2009年、国指定重要無形文化財保持者である父吉田美統にかわり錦山窯四代当主となる。
(公社)日本工芸会正会員・日本陶芸美術協会常任幹事会・石川県陶芸協会常任理事・九谷焼技術保存会会員
吉田 るみこ
RUMICO YOSHITA
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石川県能美市に生まれる。金沢大学を卒業後、石川県立九谷焼技術研修所入学。1987年から錦山窯で作陶をはじめる。1999年、朝日現代クラフト展で受賞。その後、数多くの個展・グループ展で活躍。現在は、錦山窯のアートディレクターとして、パリのメゾン・エ・オブジェへ出展するなど、独特の装飾表現で注目されている。
五十吉 深香陶窯
ISOKICHI SHINKOUTOUYOU
大正初期、初代浅蔵磯吉が石川県小松市八幡に置物を中心とした素地を造る工房を開き、現在の三代五十吉まで続く窯元。二代五十吉(与作)が九谷五彩による加飾の技法を取り入れ、落ち着きと色の奥深さを追求した俗にいう「浅蔵カラー」と呼ばれる色彩表現を確立。また、繊細な形成が可能な花坂陶石を主な原料とした磁土を使って素地を造る窯元であることから、成形時に模様を彫り込むなどの独特の世界観を構築しています。三代五十吉(與成)に引き継がれた後も、目まぐるしく変化し続ける現代の生活様式の中で、先代から積み重ねてきた表現の幅をさらに広げ、今後もさらに心に残る作品造りに取り組んでいます。
浅蔵 一華
KAZUKA ASAKURA
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1971年 石川県小松市八幡に生まれる
1996年 金沢美術工芸大学 大学院産業デザイン専攻修了後、二代、三代浅蔵五十吉のもと創作活動を開始。個展、グループ展を中心に活動。
2015年 伝統工芸士・九谷焼加飾部門に認定される
真生窯
SHINSEIGAMA
1961年に小松市平面町で開窯した真生窯は、創設以来、九谷焼の魅力である絵付けと色の美しさにこだわった作品を、全ての工程において手作りで制作してまいりました。その画風は驚くほど広く、鴛鴦や鶴、松竹梅などの吉祥文を繊細緻密な線描と重厚な色合いで表現した古九谷・吉田屋の風格漂うものから、銅版画のような呉須のマチエールと和絵具による彩色の組み合わせで生まれるシンプルで都会的なものまで、多岐にわたります。それは、伝統を大切にしながらも、絶え間なく新しい技法やデザインを考案して作品を生み出してきた真生窯の作陶スタイルそのものです。九谷焼の伝統と革新を同時に感じていただける窯として、これからも歩んでまいります。
宮本 雅夫
MASAO MIYAMOTO
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1971年小松市に生まれ。真生窯二代。東京藝術大学美術学部卒。文化庁新進芸術家在外研修員として渡伊。数多の公募展にて受賞多数。(公社)日本工芸会正会員